2013年10月16日水曜日

「しよう」と思って行為することは、うまくいきません

 おもしろいマジックを見せてくれることで
 有名な喫茶店が、九州にあります。

 私も何回か行ったことがあるのですが、
 穏やかな人柄のマスターが、
 いろんなマジックを見せてくれます。

 その中に、
 タバコでコインに穴を開けて、シューっと通してしまう、
 というのがあるんですね。

 どうしてそんなことができるのでしょうか?

 マスターは、
 「コインだと思っていると、穴は開かない」と言うのです。

 まず、コインを紙だとイメージします。
 で、タバコを千枚通しとかボールペンのように、
 硬くて先のとがったものだとイメージできたら、
 スッと入っていくのだそうです。

 そのイメージの練習を、マスターは、毎日やっているんですね。

 で、ある日、お金持ちの男性が店に来て、
 「オレの前でタバコでコインに穴を開けたら、500万円やるよ」と言って、
 500万円の札束を目の前に置いたんだそうです。

 そうしたら、できなかったそうです。
 ここがとても人間らしいところで、
 やっぱり、欲が出るわけです。

 だから、自我が働こうとするのです、
 「なんとかしよう」として。

 頑張って「しよう」「しよう」とするのは、
 「できないかもしれない」と疑ってる、とも、言えます。
 だから、できないのです。

 自我は、いつも、「しよう」と考えるのですが、
 なんであれ、「しよう」と思って行為することは、うまくいきません。


津留晃一 『 津留さんが、心から、伝えたかったこと 』 より