おもしろいマジックを見せてくれることで
有名な喫茶店が、九州にあります。
私も何回か行ったことがあるのですが、
穏やかな人柄のマスターが、
いろんなマジックを見せてくれます。
その中に、
タバコでコインに穴を開けて、シューっと通してしまう、
というのがあるんですね。
どうしてそんなことができるのでしょうか?
マスターは、
「コインだと思っていると、穴は開かない」と言うのです。
まず、コインを紙だとイメージします。
で、タバコを千枚通しとかボールペンのように、
硬くて先のとがったものだとイメージできたら、
スッと入っていくのだそうです。
そのイメージの練習を、マスターは、毎日やっているんですね。
で、ある日、お金持ちの男性が店に来て、
「オレの前でタバコでコインに穴を開けたら、500万円やるよ」と言って、
500万円の札束を目の前に置いたんだそうです。
そうしたら、できなかったそうです。
ここがとても人間らしいところで、
やっぱり、欲が出るわけです。
だから、自我が働こうとするのです、
「なんとかしよう」として。
頑張って「しよう」「しよう」とするのは、
「できないかもしれない」と疑ってる、とも、言えます。
だから、できないのです。
自我は、いつも、「しよう」と考えるのですが、
なんであれ、「しよう」と思って行為することは、うまくいきません。
津留晃一 『 津留さんが、心から、伝えたかったこと 』 より