2017年3月15日水曜日

第51回スーパーボールに


 今回の記事は、
 論点的には、目新しいことは、一切、ありませんが、
 
 題材的に、ぜひ、書いてみたいと思ったので、
 よろしければ、お付き合いください。
 
 
 僕たちが、ハワイ滞在中、
 オアフ島ホノルルから、ハワイ島に、渡った日、
 
 アメリカでは、
 スーパーボール( Super Bowl )が、行われていました。
 
 スポーツには、詳しくない方でも、
 その名前は、お聞きになられたことがおありなのではと思います。
 
 アメリカでは、とても人気のある、
 NFLという、
 プロのアメリカンフットボールのリーグの、
 そのシーズンのチャンピオンを決める、一戦で、
 
 また、ハーフタイム(前半と後半の間の休憩時間)には、
 世界を代表するエンターテイナーが、
 大規模なショーを見せることから、
 
 全米屈指の視聴率を誇るコンテンツとしても、
 有名な試合です。
 
 ちなみに、今回は、
 レディーガガ( Lady Gaga)さんが、
 ハーフタイムショーを、されていました。
 
 
 その日、
 僕たちは、
 
 朝、ホノルルを発ち、
 飛行機で、ハワイ島コナ空港に、着きました。
 
 迎えのバスに乗り、
 レンタカー事務所に着くと、
 そこでは、
 スーパーボールのラジオ中継が、流れていました。
 
  「お、やってるな」
 と、思いながら、
 レンタカーの手続きを済ませ、
 ハワイ島のドライブを、スタートさせました。
 
 僕は、学生時代から、
 アメリカンフットボールが、大好きで、
 
 NFLは、以来、よく観ています。
 今回の、スーパーボールも、楽しみにしていました。
 
 ただ、
 日本に帰れば、
 録画したものを観られることが分かっていましたので、
 
 純粋に、
 それよりも、圧倒的に楽しみな、
 ハワイ島を満喫することに、意識を向けていました。
 
 むしろ、
 経過・結果が分からないように、
 「聞かないように」していました。
 
 そのへんは、
 過去記事『 興ざめなこと 』に書きましたが、
 「結果の分かっているスポーツほど、興ざめなものはない」ですよね? ^^
 
 同じように感じる方は、
 やはり、いらっしゃるようで、
 
 その日、その後の、ハワイ島での、観光途中、
 「アカカ滝( Akaka Falls )」で、
 
 駐車場を管理している若者が、
 やはり、スーパーボールのラジオ中継を聞いていたのですが、
 
 僕らの次にやって来た、おじちゃんが、
  「おい、ボリュームを下げてくれ。
   結果を知りたくないんだ。
   家に帰ってから、録画を観るんだよ。」
 と、言っていました。
 
 僕と、まったく同じですね ^^ 。
 
 
 話が逸れましたが、
 そんな、今回の、スーパーボール。
 
 アカカ滝に着いた時点でも、
 まだ、試合が行われていたこと、
 
 また、その、駐車場の若者の、
 あまりに真剣に聞き入っている様子から、
 
 試合が、とても拮抗した、白熱した、
 素晴らしいものになっていることは、
 感じ取れていました。
 
 日本に戻ってきてから、
 録画した試合を観てみると、
 推測どおり、
 大接戦の、素晴らしい試合でした。
 
 フットボール史、スポーツ史に残る、
 名勝負でした。
 
 51回目の、スーパーボールにして、
 初めて、延長戦に突入。
 
 それだけでも、
 試合の拮抗ぶりが、お分かりいただけるのでは、
 と思います。
 
 
 このあと、
 題材として、触れたいところを中心に、
 試合の概要を、お伝えすると、
 
 今シーズン、爆発的な得点力で、
 リーグで一番の総得点を誇った、
 攻撃の、アトランタ・ファルコンズ( Atlanta Falcons )と、
 
 総得点リーグ3位、総失点最小(1位)の、
 バランスの、ニューイングランド・ペイトリオッツ( New England Patriots )
 の対戦となった、この試合。
 
 はじめは、どちらも、攻め手に欠き、
 ディフェンス(守備)が頑張り、
 0-0 のまま、流れていきますが、
 
 次第に、ファルコンズの攻撃が決まり出し、
 前半に、3タッチダウン、
 後半に入っても、早々に、1タッチダウンを決め、
 
 その時点で、
 ファルコンズが、28-3 で、25点のリードを奪います。
 
 その過程には、
 ファルコンズ側の、
 素晴らしいディフェンスがあったり、
 目を疑うようなパスキャッチがあったりして、
 ファルコンズの良さばかりが、目立ちます。
 
 一方、ペイトリオッツは、
 自ら、ボールを失い、取られて、攻撃権を失ったり、
 攻撃を上手く組み立て、続けることが、できないなど、
 攻撃に精彩を欠き、
 なかなか、流れをつかめません。
 
 しかも、
 過去、スーパーボールにおいて、
 25点差をひっくり返したチームは、ありません。
 
 流れは、完全に、ファルコンズペース。
 そのまま、試合が決まってしまっても、
 おかしくありませんでした。
 

 ここから、ようやく、
 ペイトリオッツの、反撃が始まるのですが、
 
 ところが、
 その道程も、決して、平坦ではありません。
 
 まず、
 25点差にされた後のプレーで、
 ようやく、最初のタッチダウンを、奪うのですが、
 
 ところが、
 このタッチダウンのあとの、
 ポイントアフタータッチダウンというプレーで、
 キックをミスしてしまいます。
 
 僕は、このプレーでのキックミスは、
 これまでに、2回か3回かしか、目にしたことがありません。
 それだけ、とても珍しいミスが、起こってしまい、
 本来取れるべき1点が、取れずに終わってしまいました。
 
 後々、このミスのカバーをしなければならないので、
 タッチダウンを取れたとはいえ、
 まだまだ、ハードルは、とても高い状況です。
 
 しかも、続く攻撃でも、
 どうにか、得点は得られますが、
 タッチダウンには結びつけることができず、
 フィールドゴールの3点だけで、終わってしまいます。
 
 
 その後になって、
 ようやく、守備陣が、相手のミスを誘って、
 攻撃機会を奪取し、
 
 ついに、
 そこから、怒濤の攻撃。
 
 最後、
 試合終了まで、3分30秒のところで、
 攻撃権を得ます。
 
 ただ、この時点で、
 28-20 。
 まだ、8点差あります。
 
 タッチダウンと、
 その後の、ポイントアフタータッチダウンのキックでは、
 取れる点数は、計7点。
 
 タッチダウンを奪って、
 しかも、その後の、ポイントアフタータッチダウンで、
 キックではなく、
 ツーポイントコンバージョンと呼ばれるプレーで、
 改めてタッチダウンを奪って、2点を得るという、
 より難しいことを成し遂げて、
 ようやく、計8点を得られます。
 
 先ほどのミスが、
 ここに、響いてきています。
 
 残りの、3分30秒間で、
 必ず、
 この二つのミッションを、やり遂げなければなりません。
 
 しかも、それができても、
 逆転ではなく、ようやく同点、というシチュエーションです。
 
 攻撃陣には、
 極めて高いタスクが要求され、
 しかも、ミスが許されません。
 
 もの凄い、緊迫感が漂います。
 
 守備側ファルコンズとしては、
 押され気味の形勢とはいえ、
 まだ、8ポイントのリードで、残り時間も、わずか。
 
 一度踏ん張り、相手攻撃を終わらせてしまえば、
 その瞬間、チームの勝利が、実質的に確定します。
 
 
 そんな、緊迫の、シリーズ。
 お互いの、緊張、気迫から、
 ついに、このプレーが決まらなければ、
 ペイトリオッツの攻撃が終了、
 という場面を迎えます。
 
 ここで、
 攻撃側に、
 奇跡のパスキャッチが生まれます。
 
 投げられたパスが、相手にとられかけるのですが、
 下に落下していくボールが、
 その相手の身体に当たって、下から上に跳ね戻り、
 
 つづいて、そのボールを、
 敵3人と競り合って、取り合う、攻撃側のレシーバーが、
 地面すれすれのところで、ギリギリ、キャッチします!
 
 このプレーの成功のおかげで、
 攻撃権が続き、
 その後、タッチダウン。
 
 その後の、ツーポイントコンバージョンも、
 決まって、
 
 なんと、試合終了57秒前に、
 ついに、同点に追いつきます。
 
 
 そして、同点のまま、試合時間が尽き、
 延長戦に入ると、
 
 最初に攻撃権を得た、ペイトリオッツが、
 勢いそのままに、そのシリーズで、タッチダウンを得て、
 ようやく、試合が決着。
 
 ペイトリオッツの、大逆転勝利となりました。
 
 
 さあ、
 長くなりましたが、
 この試合を、
 「ペイトリオッツの、大逆転勝利」として、
 見てみましょう。
 
 この、
 「ペイトリオッツの、大逆転勝利」が、成立するためには、
 いくつかの、欠かせない要素があり、
 
 しかも、それを、
 「フットボール史、スポーツ史に残る、名勝負」にするためには、
 さらに、いくつかの要素が、必要となります。
 
 
 まず、
 相手、ここでは、敢えて、「敵」と言いますが、
 敵側の、前半の猛攻撃が、必要です。
 
 敵側の、攻撃力が、高く、
 信じられないような身体能力での、パスキャッチがあったりして、
 28点もの失点を、奪われてしまいます。
 
 しかし、それによって、初めて、
 敵が、28点も、取ってくれることによって、初めて、
  「史上最多の、25点差をひっくり返す、大逆転」
 が、成立します。
 
 敵の、
 憎いほどの強さによって、初めて、
  「史上最高の、大逆転」
 が、成立し得ます。
 
 まず、この点を、確認しておきたいと思います。
 
 
 つぎに、
 味方側の、前半の、攻撃の不調が、必要です。
 
 ボールを奪われてしまったり、
 攻撃を上手く組み立てられなかったり、
 パスを、キャッチを、ミスしてしまったり、
 
 そんな、自らの不調があって、初めて、
  「25点差」
 を作り上げることが、可能となりました。
 
 この点も、確認しておきましょう。
 
 
 つづいて、
 この試合を「史上」にするための、彩りを添える要素を、
 見てみましょう。
 
 まず、
 味方に、信じられないようなミスが、起こります。
 
 そのミスによって、
 ただでさえ、困難な「逆転」が、
 「さらに高い壁」に、「より困難な障壁」に、
 成ります。
 
 
 また、
 味方の、「奇跡的なパスキャッチ」も、
 華麗に、彩りを添えてくれています。
 
 実は、このキャッチの前には、
 ちょっと触れましたが、
 実は、敵側のほうに、素晴らしいパスキャッチがありました。
 
 もし、敵側が勝利していたら、
 おそらく、そのキャッチが、「勝敗を左右した」と、
 言われるような、プレーでした。
 
 しかし、結局は、
 それをも上回るような、スーパーキャッチが、
 味方側に、出ました。
 
 が、その、スーパーキャッチの価値も、
 同じ試合で、敵もまた、素晴らしいキャッチをしてくれたからこそ、
 高まっているところが、あります。
 
 
 また、現在、このプレーは、
  " The Catch " (「あのキャッチ」「キャッチの中のキャッチ」)
 と、
 呼ばれているようなのですが、
 それほどまでに、凄いキャッチでした。
 
 で、
 このキャッチの凄さを、さらに、深めてくれているのが、
 
 実は、今回のスーパーボール以前に、
 " The Catch " と呼ばれていたのは、
 
 ニューヨーク・ジャイアンツというチームが、
 それ以前のスーパーボールで決めた、
 試合結果を直接左右した、スーパーキャッチなのですが、
 
 そのとき、
 そのキャッチをされて、
 目の前で、スーパーボール制覇を逃したのが、
 ペイトリオッツ、なのでした。
 
 「同じ試合」ではなく、「以前の試合」なのですが、
 しかし、やはり、
 敵側が、スーパーキャッチをする、という体験をしているからこそ、
 
 今回、敵は違えど、
 「スーパーキャッチをやり返した」という逸話が加えられ、
 見事つかんだ栄冠に、さらなる、彩りを添えているのでした。
 
 ここまで、範疇に入れて、振り返れば、
 数年前の、" The Catch " による、屈辱的な敗北は、
 その後の、" The Catch " による、奇跡的な勝利の、
 壮大な「前振り」だったのです。
 
 この点も、ぜひ、お伝えしておきます。
 
 
 今回は、
 「スーパーボール」を、題材にしました。
 
 NFLという、「フットボール」を、
 「スポーツ」を、
 題材にしました。
 
 それを、
 「特殊な」題材、
 「例外的な」題材、と、
 とらえることも、できるかもしれませんが、
 
 僕は、むしろ、
  「さまざまなものが、凝縮した」「縮図的な」「典型的な」題材
 と、認識しています。
 
 そこでは、
 強力な敵の存在が、
 敵の強さが、強大さが、残忍さが、容赦無さが、
 自らのストーリーに、
 不可欠な要素と成っていました。
 
 そこでは、
 自らの不調が、ミスが、能力不足が、
 自らのストーリーに、
 不可欠な要素と成っていました
 
 (もちろん、その後の活躍も、不可欠な要素です)。
 
 そこでは、
 自らの、信じられないようなミスが、
 自らのストーリーに、
 彩りを、スリルを、加えていました。
 
 そこでは、
 敵の好調さが、ラッキーが、
 自らの過去の屈辱的な出来事が、敗北が、涙が、無念が、
 自らのストーリーに、
 深みを、感慨を、加えていました。
 
 
 わたしたちが生きている、
 「この世の中」とは、
 そういう、世界なのですね。
 
 もう一歩、
 突っ込んで、言いましょう。
 
 わたしたちが、しているのは、
 『人間』として、しているのは、
 
 こういう、
  『ゲーム』
 なのですね。
 
 
  「いやいや、
   そもそも、その話、
   勝利した『ペイトリオッツ』側から、見ているが、
   
   自分は、勝利側じゃない。
   敗北側だ」
 
 そう、お思いの方、お感じの方、
 ぜひ、それは、
 今が、まだ、
 今回のスーパーボールにおける「前半」なんだ、と、
 認識なさってみてください。
 
 
  「いやいや、
   とてもじゃないが、そうは、思えない。
   
   敗北は、決定している」
 
 もし、どうしても、
 そう、お感じになられるならば、
 
 それならば、ぜひ、
 今、負けているのは、
 「ニューヨーク・ジャイアンツ」に負けた、
 あの、スーパーボールの試合だ、と、
 認識なさってみてください。
 
 
 さあ、そして、
 もし、そう、認識することができたならば、
 
 ぜひ、今度は、
 「敵」にも、
 意識を向けてみてください。
 
 
 あなたの『敵』は、
 誰ですか?
 
 そこに、意識を向けてみてください。
 
 
 そして、その敵に、
 もし、可能であれば、
 まずは、労いの言葉を、かけてみてください。
 
  「おつかれさま。
   僕を輝かせるために、存在してくれて、ありがとう。」
  
  「僕のストーリーを、感慨深いものにしてくれるために、
   いろいろとしてくれて、ありがとう。」
 
 
 続いて、ぜひ、
 感謝の言葉も、かけてみてください。
  
  「私を、私の『白さ』を、際立たせるために、
   わざわざ、『黒く』なってくださって、ありがとう。」
  
  「誰だって、『好かれる』ほうが、嬉しいのに、楽しいのに、
   私のために、わざわざ、『嫌われる』側を選択してくれて、ありがとう。
   それは、辛い立場だったよね。 おつかれさまでした。」
  
  「私が、わたしたちが、『良くなる』『回復する』『逆転する』を、
   体験できるようにするために、
   わざわざ、『悪くする』『酷くする』ことをしてくれて、ありがとう。
   おかげで、これまでのストーリーが、これからのストーリーが、
   史上、最高の物語となることに、確信が持てます。」
 
 
 
 あなたの『敵』は、
 誰ですか?