『一般的』な旅行としたら、
今回の、アメリカ旅行の、
最大の目玉は、
グランドキャニオン
ということに、なるでしょう。
その、雄大な光景。
その、造形が創り出されるにあたって、
どれほど、膨大な年月が積み重ねられたかが、
一目瞭然な、その、特異な形状。
また、独特な色合い。
どこまでも、ユニークな、
その場所は、
世界中から、
人々を惹き付けて止まないようで、
シーズン中は、ホテルを取ることは、困難、
園内に入るにも、渋滞となります
(グランドキャニオンは、国立公園です)。
僕たちが訪れた、日暮れ時になっても、
ビューポイントには、
実に多くの人々が、
騒がしく、その場を埋めていました。
いえ、
夕暮れ時こそが、
一番人気の高い時間帯なのでしょう。
僕たちも、その時間を狙って、訪れましたので、
混み合っているのは、
実際のところは、当然なのかもしれません。
ルート66( I-40 )から離れること、
約1時間。
低木がわずかに生える、乾燥地帯だった、
ルート66沿いから、北上していくと、
北上するにつれ、
徐々に、草木が増していき、
グランドキャニオン近くになると、
高木の生える、林の中を進んでいくことになります。
いわゆる「グランドキャニオン」のイメージからすると、
ちょっと、違和感のある、その光景の中を、
さらにそのまま、進んでいくと、
また徐々にふたたび、
空が広くなっていき、
見晴らしが利くようになっていき、
ビューポイント近くの、
駐車場に着くときには、
もう、見るからに、
触れる空気、吸う空気からも、
「そこ」が、目前であることを、
体感するようになります。
5時間以上のドライブの果てに、
僕たちが、そこに、たどり着いたときには、
まだ、
夕焼けは、始まっていませんでした。
ギリギリ、
「希望の時間帯」に、間に合った感じでした。
余裕があれば、
もう少し早く着いて、
買い物をしたり、
いくつかのビューポイントからの眺めを、楽しんだりと、
したかったのですが、
実質「初日」の、
ロングドライブの後、でしたので、
これでも、
充分でした。
ポイントとしては、1カ所だけになりますが、
でも、そこから、
日の暮れ行く様子を、
それによって、
色を、表情を、変えゆく、
深く多彩に、削り刻まれた大地の様子を、
じっくりと、眺めることにしました。
はじめは、白さの残った、
空気と大地でしたが、
瞬間を深めるごとに、
徐々に、徐々に、
赤さを、黄色さを、
加え、増していきます。
陽ざしの弱まりとともに、
変わりゆくのは、
色合いだけではなく、
蒸気も、
粒を大きくし、集まりを強固にし、
靄(もや)も、
徐々に、濃く、くっきりと、
その存在を深めていきます。
結果、それは、
まるで、流れるスクリーンのように、
陽光を受け止め、
西の空は、
黒と黄金の、
二色のコントラストを、
揺れ、漂いながら、
深め、強めていきます。
そのとき、
一部の人々の、ざわめきから、
ピンと来ました。
後方、東の空に、
目を向けました。
そこには、
淡い赤い膜を、一枚、
顔や背中に貼付けた人々の、その奥に、
短いながら、鮮やかな、
直立の虹が、
くっきりと、お出ましていました。
(この写真では、2本、出ていますね ^^ )
その後、
背後に、虹をもたらしてくれた、
水の粒たちは、
突如、
わたしたちの頭上からも、姿を現し、
叩き付けるように、
容赦なく、
大地とともに、その上にたたずんでいた人々にも、
降り注ぎました。
悲鳴を上げて、屋根ある場所へと、逃げ走る、
みなの表情は、
わたしたちと同様に、
「困った」「やられた」
といった風ではなく、
想定以上の光景を見られた満足感に、
ゆるみ、ふやけていました。