シャスタシティの、モーテルで、
早朝、まだ暗いうちに、
目を覚まし、
アメリカ旅行11日目が、
明けました。
今朝も、
僕たちのアメリカは、
快晴でした。
シャスタ越しの、朝日は、
昇りはじめから、
強力な光線を放っていました。
この日は、
シャスタを後にし、
サンフランシスコを経由して、
サンフランシスコの南、モントレーまで、移動。
距離にして、
ちょうど400マイル(650キロ弱)、
時間では、
寄り道無しでも、6時間半。
サンフランシスコでは、
すこし、観光をしたいと思っていましたので、
朝早くに発って、
午前中のうちに、
できるだけ、移動してしまう予定でした。
そのために、
マクラウドにある、
ストーニーブルックインではなく、
シャスタシティにある、
モーテルに、泊まったのでした。
ところが。
荷造りをしているところで、
突然、気がつきました。
僕の、荷物が、
一つ、ありません。
どれだけ探しても、
見当たりません。
よ〜く、考えてみても、
どうしても、
ストーニーブルックインに、忘れている可能しか、
思い当たりません。
逆に、
ストーニーブルックインに置き忘れているとしたら、
納得がいきました。
おそらく、そうなのでしょう。
せっかく、
シャスタシティのモーテルに移動して、
泊まったのに、
結局、
ストーニーブルックインまで、
戻らなくてはならなくなりました。
裕子さんに詫び、
すこし、時間をつぶして、
マクラウドまで、
もう一度、帰ることになりました。
そのため、
時間ができたので、
モーテルを出て、
もう一度、水を汲みに行くことにしました。
マウントシャスタ市民公園は、
早朝も、
静かで、細かい空気に満ちていました。
朝訪れても、
素敵な場所でした。
シャスタの湧き水を汲み、
飲み、
大好きな公園を眺めていると、
どうにか、吹っ切れていた、
「シャスタと別れる」ということへの、残念な気持ちが、
断ちがたく、強いものになってきました。
駄々をこねる、自分の中の、
小さく、しかし、ごく素直な自分を、
どうにかこうにか、制して、
車に乗り込みました。
シャスタの街中には、
朝早くからやっている、
パン屋さんがあり、
そんなこともあって、
早くから、人の動きが見られましたが、
でも、
日中に比べると、静まりかえっている、
その町は、新鮮で、
また、「耐え難さ」感を、
湧き上がらせました。
何度も通り、
すでに、見慣れた、
マクラウドまでの道を、
半起きで、寝ぼけたままの、
子どもたちだけでなく、
裕子さんも、僕も、
口をつぐんだままでした ...
ストーニーブルックインに着くと、
朝食の準備で、
すさなさんは、キッチンに、いらっしゃいました。
事情を話すと、
幸い、僕たちが泊まった部屋は、
その日、空いていて、
すぐに、中に入れました。
やはり、荷物はありました。
お礼を言い、
改めて、お別れのご挨拶をすると、
「ちょっと、待っていて」
と言って、奥に入り、
そして、
何かを手に、戻って来られました。
「昨日は、忙しくて、渡せなかったけど、
はい、おみやげ」
そういって、
シャスタで採られた、
ブラックベリーのはちみつと、
その、養蜂家さんが作られた、
ビーワックスの、観音像を、くださいました。
「昨日は、忙しかったから、
渡す時間も、お話しする時間も、無かったから、
今朝、戻ってきてくれて、良かったわ」
そう、おっしゃってくださいました。
そうして、
すこしの間でしたが、
お話をすることができました。
すべてが必然なんだと、
そう、分かりました。
せっかく、マクラウドに戻ってきたので、
もう一度、
最後に、
マウントシャスタに、ご挨拶させていただくことにしました。
一片の雲もない、
マウントシャスタに、
しっかりと、感謝とお別れを、お伝えできました。
ここまで、くっきりとした、
マウントシャスタを、拝めたのは、
このときが、初めてでした。
すべてが、それでいいんだと、
もう一度、感じました。
マウントシャスタは、
これまで以上に、
輝いて見えました。